夏山登山2人死亡 剱岳と鳶山、滑落か 県警「届け出と無理のない計画を」
大勢の登山者でにぎわう立山・室堂周辺=7月1日 ●県外から単独行 獅子岳、龍王岳で重傷者も2人 富山県の北アルプス一帯で15〜16日、山岳事故が相次いだ。剱岳と鳶山(とんびやま)では東京と神奈川の男性2人が死亡し、獅子岳と龍王岳でもいずれも名古屋市の男性が骨折の重傷を負った。死亡した2人はいずれも単独で訪れ、登山中に滑落したとみられている。昨年県内で発生した127件の山岳遭難事故のうち65件が7、8月の夏山シーズンに集中している。県警は登山届を提出し、無理のない計画を立てるなどして事故の防止を呼び掛けている。 【地図】山岳事故発生場所 16日午前8時5分ごろ、立山町芦峅寺の剱岳の北方稜線(標高約2350メートル)で東京都板橋区新河岸の会社員目黒晋平さん(57)が倒れているのを県警山岳警備隊員が発見した。県警ヘリ「つるぎ」が収容し、搬送先の病院で死亡が確認された。 上市署によると、単独で登山中に滑落したとみられ、登山道を外れた岩と雪渓の間に倒れていた。14日夕に近くの山小屋から「宿泊予定の登山者が到着しない」と通報があり、警備隊員が捜索していた。13〜17日の日程で登山届が出ていた。 15日午後4時25分ごろ、富山市有峰の鳶山(標高約2470メートル)で、横浜市鶴見区梶山、会社員石丸信行さん(63)が心肺停止状態で見つかり、死亡が確認された。1人で登山中に登山道から滑落したとみて調べている。 同日午後0時半ごろ、登山道から約120メートル下の斜面で人が倒れていると登山者から近くの山荘を通じて通報があり、県警山岳警備隊員が発見したが、悪天候のため救助活動を断念。天候が回復した16日朝、「つるぎ」で収容した。 16日午後0時45分ごろ、立山町芦峅寺の獅子岳(標高約2620メートル)で、名古屋市千種区古出来の会社員藤井丈晴さん(50)が転倒し、左足首の骨を折る重傷を負った。 上市署によると、藤井さんは単独で登山道を歩いていたところ、バランスを崩したとみられる。県消防防災ヘリ「とやま」が出動し、富山空港から済生会富山病院に搬送された。 15日午前8時半ごろ、立山町芦峅寺の龍王岳南壁(標高約2720メートル)で、名古屋市千種区今池南の配送業加藤欣哉さん(69)が岩場から落下し、胸部骨折の重傷を負った。 上市署によると、加藤さんはロッククライミング中、バランスを崩して落下した。同行者が110番通報し、県警山岳警備隊員が加藤さんを救助して室堂警備派出所まで同行した。