北アルプスや八ケ岳で遭難相次ぐ 長野、過去最多を超えるペース
夏山シーズンを迎えた北アルプス。長野県警が遭難防止を呼びかけている=2025年7月28日、長野県、高木文子撮影 夏山シーズンを迎え、長野県内の北アルプスや八ケ岳などで山岳遭難が多発している。県警のまとめでは、1月~8月3日に205件の山岳遭難があり、遭難者は232人。過去最多だった昨年を上回るペースで推移しており、体力や準備不足で救助を求めるケースも目立つという。 【写真】夏山シーズンを迎えた北アルプス。長野県警が遭難防止を呼びかけている=2025年7月28日、長野県、高木文子撮影 山域別では北アルプスが約6割の127件を占め、八ケ岳(19件)、中央アルプス(13件)など。遭難者の13%にあたる30人が亡くなった一方、4割強の99人は無事に救出された。 無事に救出された人の65%は、道迷いや疲労が原因だった。県警山岳安全対策課の担当者は「自分の技術や体力に合った、ゆとりのある登山計画を立ててほしい」と呼びかける。 広域から登山者が訪れるため、情報発信も課題だ。県内で昨年に発生した山岳遭難は321件(350人)で、件数・遭難者数とも過去最多だった。遭難者を居住地別にみると、最多が長野県の53人。次いで東京都、神奈川県が各46人、埼玉県29人となり、首都圏が目立つ。愛知県も26人だった。 長野県警は7月上旬、横浜市で開かれた登山用品店のイベントで、安全登山について啓発活動をした。登山アプリ「YAMAP」の運営事業者と連携して、救助現場の様子もサイトで紹介している。 県内の多くの山域では県条例で登山計画書の提出が義務づけられている。計画書はウェブでも提出できる。また、県山岳総合センターでは、服装やルートなどの相談をLINEで受け付けている。同センターのユーチューブチャンネルでも、岩場の歩き方などの登山のこつを配信している。(高木文子)朝日新聞社