Dark mode switch icon Light mode switch icon

入念準備、秋山遭難防ぐ 県内 キノコ採り・紅葉シーズン控え、発生増懸念

登山者に入山時の注意事項などを呼びかけた県警の広報活動=今年4月、山形市内 キノコ採りや紅葉の季節を控え、山岳遭難の発生が増えることが懸念されている。まだ日中は暑さが残るものの、日が落ちると気温は急降下。体力が奪われ、危険な事態になることも想定される。無事発見に至ったが、鳥海山では遭難事案が発生。県警や山岳関係者は登山アプリの登録や携帯電話の予備バッテリー、食料や防寒具など、万が一に備えた準備をした上で山に入るよう呼びかけている。  鳥海山での遭難では、酒田市に住む男女の児童3人と父親、東京都内の叔父の計5人で登山のため15日早朝に入山。下山中、父親と1人の女児が先行し、後れを取った男女2人の児童と叔父は霧が濃くなり、道に迷ったという。翌16日早朝に県警ヘリ「がっさん」が発見し、助かった。防寒具、食料は余分に持っており、登山届も出していたが、日帰り予定で予備のバッテリーは持っていなかった。  「登山パーティーは必ず下山まで一緒に行動してほしい」。県山岳連盟の佐藤和典理事長は強く訴える。年齢や経験が違うと上ったり下りたりするペースは異なる。県警地域課の担当者は「最も遅い人に合わせ、単独行動をしないことが大切だ」と強調する。2024年は低体温で死亡した事例もある。これからは日没が早まるため、日帰り登山でもヘッドライトを持って行き、雨風がしのげるレインウエアも必要だ。安全な登山のためには、自分の能力を過信せず、無理のない計画を立て、十分な準備をすることが重要だという。 登山用の地図アプリも役に立つという。今年6月、小国町の飯豊連峰で遭難した50代女性は1人で入山。途中で数十メートル滑落し、動けなくなった。携帯電話がつながらず、本人と連絡が取れなかったが、登山用の地図アプリをダウンロードしており、位置情報を照会。登山経路や現在地が分かり、救助できたケースだった。県警地域課は登山届の提出に加え、「道迷いによる遭難はアプリなどを登録していれば防げる可能性が高い。山の難易度や経験にかかわらず準備を万全にしてほしい」と呼びかけている。  【メモ】県警地域課によると、今月16日現在、県内の山岳遭難者数は57人。転倒が19人で最多、道迷いが16人と続く。2022年からの過去3年間、9~10月に登山やキノコ採りで遭難したケースは54件56人に上り、8割が登山届を出していなかった。登山での遭難では県外在住者が目立つという。