富士山入山規制が効果? 静岡、今夏の山岳遭難が減少 水難は増加
富士宮口から富士山頂を目指す登山者たち=富士山で2025年7月、藤渕志保撮影 静岡県警は夏休みシーズンの7、8月のレジャー事故件数を発表した。富士山や南アルプス山系での山岳遭難は前年より減った一方で、水難事故が増加している。 【図でわかる】富士登山、どんな規制だった? 県内で起きた水難事故は前年より7件多い25件だった。中学生1人を含む12人が死亡し、3人がけがをした。7月末から8月上旬にかけて死亡事故が頻発し、8月には2年ぶりに県内全域に「水難事故多発警報」が発令された。注意報は9月30日まで延長中だ。 場所別では海が16件と6割超を占め、湖沼池・その他が5件、河川4件。9月に入ってからも、湖西市の海岸でウェイクボードに乗っていた20代の男性がけがをした。県警はライフジャケットの着用や、天候の見極め、体調不良や飲酒後には入水しないよう呼びかけている。 ◇富士山、3年ぶり死者ゼロ 他方で山岳遭難は48件(前年比14件減)で、死者や行方不明者はいなかった。 山梨側に続き入山規制が始まった富士山での遭難の減少が影響したとみられる。午後2時~翌午前3時までは山小屋の宿泊予約がないと入山できなくなり、県は夜通し登る弾丸登山が減ったと分析する。静岡側3ルートの入山者(速報値)は10万2941人だった。 静岡側の開山期間(7月10日~9月10日)に発生した遭難は36件で、3年ぶりに死者が0人だった。遭難が最も多かったのは富士宮ルートで、19件と半数以上を占めた。 遭難の原因別では転倒が15人、病気12人、疲労7人、道迷い2人と続く。富士山では中高年に加え、若者からの救助要請も目立った。20代男性や30代女性が下山中に疲れから転倒し、足を負傷して搬送された例もあった。 登山者に人気の紅葉シーズンを前に、県警は「下山までが登山。無理のない登山計画を立ててほしい」と改めて注意を促している。【藤渕志保】