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準備不足で遭難「救助費は自己負担にするべき」 富士宮市長が提言

残雪が残る富士山の富士宮口5合目付近。ここから山頂までの登山道は閉鎖が続いている=2025年4月27日午後4時4分、静岡県富士宮市粟倉、吉村成夫撮影 冬季閉鎖中の富士山で4月に遭難が続いた問題をめぐり、静岡県富士宮市の須藤秀忠市長は9日の定例会見で、「安易に登っての遭難は自己責任だ。救助費用を遭難者負担にするべきだと思う」と述べた。そのためのルールづくりや対策を、県に要請する方針を明らかにした。 【写真】残雪が残る富士山の富士宮口5合目付近。ここから山頂までの登山道は閉鎖が続いている=2025年4月27日午後3時54分、静岡県富士宮市粟倉、吉村成夫撮影  富士山の開山は7月上旬から9月上旬。閉鎖中の登山について、国や地元自治体、登山関係者などでつくる協議会はガイドラインで、準備が万全ではない人は登らないよう求めている。しかし、閉山中の登山や遭難が後をたたないのが実態だ。  県警と市消防本部によると、4月22日、山頂付近で体調を崩した中国籍の男子大学生(27)が救助を要請し、県警と市が出動態勢に入る中、山梨県の防災ヘリが救助した。この大学生は26日にも8合目付近で遭難。悪天候でヘリが近づけず、県警山岳遭難救助隊と市消防山岳救助隊が徒歩で現場に入り、担架で搬送した。大学生は登山計画書を出していなかったとみられる。市の菅原一朗消防長は「この時期も多くの雪が残り、凍結もしていて非常に危険」と説明する。  須藤市長は会見で「救助する側も命がけで、二重遭難もありうる」と述べた。県に求める対策は、救助費の自己負担化の検討や、5合目までの県道の冬季封鎖の解除時期を遅らせることを挙げた。  消防組織法は、消防本部の活動費用は自治体が負担すると定めている。市は昨年、県に対し、遭難事故にかかった費用は一定割合を自己負担にできる法改正を国に働きかけるよう要請した。今回はさらに、遭難で防災ヘリが救助した場合の費用負担の条例化も求める方針だ。埼玉県は「飛行5分ごとに8千円」の手数料を定めている。  ヘリ費用について、市は「静岡県と山梨県が足並みをそろえることが望ましい」としている。(吉村成夫)朝日新聞社