閉山期の富士山で相次ぐ遭難...富士吉田、富士宮両市長が怒り 「事前入山登録」システム導入も進む
富士山で外国人による遭難が相次ぐ(写真はイメージ) 静岡県では「富士山」をめぐる1つの議論が活発になっている。 それは「閉山期の遭難発生時の救助」だ。 【画像】「静岡県富士登山事前登録システム等について」発表文 2025年4月、中国籍の男性が富士山に2度も遭難するという事態が発生した。 最初は「アイゼンを紛失して下山できなくなった」と自ら通報し、2度目は最初の救助の際に「携帯電話を山頂に置き忘れた」という理由で富士山に引き返し、高山病を発症した......という顛末である。 この問題はついに静岡県にも波及した。 ■救助ヘリの燃料費だけでも相当 閉山期の富士登山は、言わずもがな危険である。軽装で行くなんてもってのほかだ。しかし、その富士山で外国人による遭難が相次いでいる。 前述の騒動だけでなく、5月17日にも中国人大学生2人が富士宮ルートの元祖7合目で一次遭難状態に陥った、という報道があった。 この2人は自力で下山したものの、静岡県警の遭難救助隊が出動する騒ぎになっている。 相次ぐ富士山での遭難に、ついに該当自治体の首長が怒りの声を上げた。 5月9日の定例記者会見で、静岡県富士宮市の須藤秀忠市長はこう発言した。 「言うことを聞かずに勝手に登っている。その救助にかかる費用は莫大なものになる」 須藤市長の発言は全国的な話題になったが、その4日後には富士山の北麓に位置する山梨県富士吉田市の堀内茂市長も声を上げた。 「まるでタクシーを呼ぶかのごとく、スマホで気軽に救助を要請する。そのような風潮が目立っていると私は思う」 富士山に救助隊を派遣するのは、当然、無料でできることではない。救助ヘリの燃料費だけでも相当な費用がかかる。それらを賄うのは税金である。その問題を、両市長は指摘したのだった。「その費用については議論の余地があると思う」 こうした状況を受けて、静岡県の鈴木康友知事は13日の定例記者会見でこの問題に言及した。 「救助はしなければならないと思うが、その費用については議論の余地があると思う」 その上で鈴木知事は、こう述べている。 「全国的にいろいろな事案がある。国全体に関わる問題のため、国で課題を整理してもらいたい」 遭難救助費用を自己負担にするという方針は自治体単独で打ち出せるものではなく、国の決定が必要不可欠、ということだろう。 いずれにしても、「富士山で遭難したら誰が救助費用を捻出するのか?」という議論は大きな関心を呼んでいる。