鳥海山で遭難・救助された児童の父親「一本道で迷わないと甘く見ていた」…電波悪く「紙の地図持てばよかった」
3人の救助を終え、鉾立口に下山した山形県警の警察官(16日午前11時19分、秋田県にかほ市で)=岩峪諒撮影 15日午後6時20分頃、山形・秋田県境の鳥海山(2236メートル)で、「3人が遭難したかもしれない」と一緒に登山していた親族から119番があった。山形県警は16日午前5時半頃から捜索に向かい、3人を救助。全員無事だった。救助された男性は「ガスがかかって道に迷った」と話しているという。 【地図】「一本道」のはずが…3人が発見された場所はここ 酒田署の発表などによると、遭難したのは東京都江戸川区の運送業男性(32)と、山形県酒田市の小学6年女児(12)と小学3年男児(9)の3人で、小学生2人は男性のめいとおい。男性と女児は警察官とともに下山し、体力を消耗していた男児は県防災ヘリ「もがみ」で救助された。3人ともけがはないという。 男性と、男性の兄、兄の子ども(長女、次女、長男)の計5人は、15日午前5時頃、鳥海山山頂を目指し、鉾立口(秋田県にかほ市)から入山。昼頃に山頂に到着した。だが、下山する際に山頂から西約600メートルの千蛇谷付近で、ペースの違いから二つのグループに分かれた。兄と次女(10)の2人は同日中に下山した。 その後、男性から兄にLINEで「道に迷った」とメッセージが届き、兄は午後5時半頃、「御浜小屋で朝まで待つように」と返信した。「わかった」と返信があったが、その後連絡が途絶えた。 酒田署と県警山岳救助隊は16日午前5時半頃、4人が鉾立口から、6人が吹浦口(遊佐町)からそれぞれ入山して捜索し、県警ヘリ「がっさん」も出動した。 ヘリが午前6時45分頃、鳥海湖の東側の登山道を歩く3人を見つけ、下から登った署員が午前7時15分頃に合流し、救助した。「ルート共有が不十分だった」 遭難した男性の兄で、3人の子どもの父親(34)が16日、取材に応じた。5人で羽黒山や月山に登ったことはあるが、鳥海山は初めてで、ルートの共有が不十分だったことを悔やんだ。ただ、万が一に備え、水や食料を余分に持ち、ダウンジャケットやライト、災害用のポンチョを持参していたことで、遭難した3人は夜を乗り切れたという。