猛暑の夏山、遭難者が過去最多 持参した水分が不足…熱中症や体力不足で行動不能に 長野県の発生件数、7割は北アルプスに集中
画像はイメージ 今年の夏山シーズン(7、8月)に長野県内で発生した山岳遭難者が前年同期比29人増の154人となり、過去最多だったことが、県警山岳安全対策課のまとめで分かった。記録的な猛暑の影響もあり、熱中症や体力不足などで行動不能になる「疲労」が33件と例年より目立った。県警は技量や体力にゆとりのある登山計画を立てるよう呼びかけている。 【写真】南アルプス駒ケ岳で遭難者の救助に当たる救助隊員ら遭難者154人、うち死者は6人 遭難者154人のうち、死亡は6人、負傷は75人。疲労や道迷いなどの「無事救出者」は73人だった。居住地別では県外在住者が141人と全体の9割超に上り、年代別では50代以上が75%を占めた。遭難の発生件数も過去最多 遭難の発生件数も同27件増の143件で過去最多だった。山域別では約7割の102件が北アルプスに集中。態様別では転倒の44件が最多で、疲労の33件、滑落の28件が続いた。「行動時間×体重×5ミリリットル」を目安に 遭難者が過去最多となった背景について同課は「好天が続き、特に北アルプスで登山者が絶え間なく訪れた」と指摘する。近隣の富山、岐阜両県でも同様に昨年を上回る件数の遭難が発生したという。疲労による遭難については「持参した水分が不足していた事案が多かった」と分析。9月中も厳しい残暑が見込まれることから、「行動時間×体重×5ミリリットル」を目安に十分な水分を携行してほしい―と訴えている。「レベルに合った山選びを」 遭難者の平均年齢は58歳だった。県警山岳遭難救助隊の岸本俊朗隊長は「登山経験が浅い中高年の遭難が目立った」とし「レベルに合った山選びを心がけてほしい」と強調した。 シーズン中に県警ヘリと県消防防災ヘリは合わせて90回出動。警察官ら延べ968人が救助活動に当たった。