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道迷い多発、死亡事故の多くは滑落。春の大型連休期間、山岳遭難発生数が過去最多を記録

南稜ルート上部と爺ヶ岳南峰・中央峰5月19日にGW期間の遭難発生状況まとめが警察庁から発表された。今年のGW期間はおおむね天候にめぐまれ、この季節にふさわしい登山を楽しんだ人が多かった。それに伴い遭難発生も過去の発生数を大幅に上回ることとなった。最多は道迷い。死亡事故の多くは滑落集計期間は4月26日~5月6日の11日間、全国合計の遭難発生件数は203件、遭難者数は236人だった。前年と比較すると、発生件数は+23件(12.7%増)、遭難者数は+44人(22.9%増)で、特に遭難者数の増加は顕著となった。 報道発表などをまとめると、特徴は次のとおり。 ---------- 1.遭難者の年代別では60代50人が最多、以下70代45人、50代41人の順に多い。60代以上の合計で約半数を占めた。 2.態様別では「道迷い」が約3割で最も多かった。 3.都道府県別での最多は長野28件だが、神奈川16件、群馬14件、山梨12件など首都圏近郊各県でも多発した。主要エリアの初級雪山ルートとともに、都市近郊の低山での事故発生も目立った。 4.山域別では雪山ではない丹沢山系(神奈川)が15件で最多。 5.死亡者は13都道県で計21人、行方不明者は2人だった(5月6日時点)。 ---------- このように、春の大型連休といっても、ひと昔前までのように北アルプスなどの残雪登山に大挙して押し寄せるのではなく、日帰りで比較的手軽に登れる雪山や、遠出を避けて低山ハイクを楽しむ人も多く、登山志向は多様化している。そのなかで、広範囲のエリアにわたって比較的被害程度の少ない遭難事故が多発したのが特徴といえる。 ただし、残雪が要因となった滑落事故はリスクが高く、別表に見られるように死亡事例の多くが滑落事故だった。また単独登山での死亡事例も多かった。表中で「低山」に該当すると思われるものを青字で示したが、低山でも滑落死亡事故が起こっていることをよく理解しておきたい。 遭難者中に占める死亡・行方不明者の割合は8.9%とかなり低くなった。本来この時期は気象遭難や雪崩遭難が起こりやすく、山岳遭難の救命率が低いことが特徴だった。しかし、ここ数年は死亡者割合が10%未満と、助かる確率が高くなっている。計画書提出、保険加入をはじめ、個人で可能な遭難対策は確実に行なっておきたい。