閉山中の富士山遭難、ヘリ救助「有料化」検討 山梨県が秋にも条例案
山梨県側の吉田ルート5合目のゲートを通過する登山者ら。開山中も危険な弾丸登山などを防ぐ施策が展開されている=2024年9月10日、富士山、池田拓哉撮影 閉山中の富士山で無謀な登山による遭難が相次いだことを受けて、山梨県は防災ヘリによる救助の有料化を含めた条例化の検討を始めた。早ければ、県議会9月定例会への条例案提出を目指す。 【地図】「日本一道迷いしやすい登山道」のある山はどこ? 山岳遭難をめぐっては、埼玉県が2018年に防災ヘリによる救助を有料化する条例を施行。現在は6カ所の山岳地域を対象に、原則として飛行時間5分ごとに8千円の手数料を求めている。 閉山中の富士山では、雪が残る今年4月、静岡県側で遭難が相次いだ。地元の同県富士宮市や静岡県だけでなく、山梨県富士吉田市からも閉山中の危険な登山による遭難に対して、救助の有料化や費用負担の議論を求める声が相次ぎ、その是非が注目されている。 首長らの発言の背景には、無謀な登山の抑止力への期待に加え、自治体財政が厳しいなかで、危険を承知で入山する登山者を、なぜ地元住民が払う税金を使って無料で救助しなければならないのか、という納税者感情に対する配慮もある。 国や山梨、静岡両県、関係自治体などで作る「富士山における適正利用推進協議会」はガイドラインで、夏山以外の富士登山について「十分な技術・経験・知識としっかりとした装備・計画を持った者の登山」は妨げないとする一方、「万全な準備をしない登山者の登山は禁止する」と定めている。気象条件が厳しく、登山道、救護所、トイレも閉鎖されていて、携帯電話も通じにくいため、安全の確保が困難だからだ。 こうした状況に山梨県の長崎幸太郎知事は、防災ヘリの有料化を視野に条例化の検討を関係部局に指示した。 県防災局によると、すでに防災ヘリを有料化している埼玉県など、各地の山岳遭難に関する情報収集をして、有料化した場合の課題の整理を進めている。朝日新聞社